飯能市立図書館
埼玉県飯能市 2013年
歴史ある西川材の主産地である飯能の市立図書館
杉の持つ象徴性を空間のデザインに活かすため、磨き丸太をそのまま掘立柱として利用している。図書館の内部空間は樹木の林立する森をイメージし、丸太柱から枝が出る樹状柱が屋根を支える構造とした。大きな丸太を使用するにあたり伐採時期と乾燥期間を考慮し竣工までのスケジュールを組み立てる必要があり、着工半年前に、丸太を本体工事と分離先行発注して伐採。その後約11か月の自然乾燥期間を経て構造材として使用した。開架閲覧室の柱は長さ10m、柱脚で直径50cm、柱頭で45㎝の+5cm以内の条件を満たす杉である。幹は直接屋根を支えず、幹から分かれた直径25㎝の枝が屋根を受ける構造とした。一般利用者が利用する開架閲覧室は幹が林立する空間となっている。外壁がほぼガラス面で構成される閲覧室のため、「軒の出」と「東西面の杉ルーバー角度」を季節と時間毎に検証し、直射を遮り天空光を取り込む計画とするなど、森林文化都市「飯能」にふさわしい環境負荷の少ない図書館としている。