磐田市民文化会館「かたりあ」

磐田市民文化会館「かたりあ」は、隣接したアミューズ豊田やこども図書館、新造形創造館と共に、市の文化芸術活動を育み、創造する1500 席超のホール建築である。遠江の国府が置かれ地域の要衝として歴史を刻んできた磐田市にふさわしい、時代の変化に耐える品格ある建築を目指した。
放射状に広がる特殊形状の金属板が市民の活動をつつみ込むように屋根から壁までを覆う特徴的な外観は、磐田市の風景の一部となり、市民の文化芸術のシンボルとなることを意図している。外壁を穿つように各方面に大きな開口部を設けることで、内部の市民活動が外観に表出し、文化ゾーンへのつながりを持ちながら内外の一体感を生む。
ロビー・ホワイエは開放的な市民の居場所でありながらも、ハレの場に相応しい品格ある佇まいの空間である。屋外からロビーへ入り、大階段を上りホワイエに至るシークエンスには、1200 角の大判タイルやレンガ舗装、天然木、杉小幅板型枠の打放しなど素材感のあるテクスチャを取り入れ、大屋根の下にランドスケープが広がるような多彩な表情を見せている。
「かたりあ」は⾳楽をはじめ演劇・ミュージカル等を⾏う多目的ホールである。客席は県内で最もゆとりのある幅・奥行寸法としながらも、多面体形状の壁面・天井面により、豊かな音の広がりと、クラシック音楽等に相応しい残響を生み出し、客席の一体感と音響を両立したホールとなっている。