研究/生産/物流施設

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CONCEPT

企業らしさと先端性を表現する

生産・物流施設には、多種多様な設計上の特殊条件があります。それらを誠実にノウハウとして蓄積し、企業らしさと先端性を表現し、合理的かつ魅力的なデザインを創造することにより、企業のグローバルな社会貢献に寄与できる建築デザインを提案しています。
建築設計者も生産技術者もエンジニアであり、お互いに良い信頼関係を築くことを大切にし、共にこれからのモノづくり空間を創造することを喜びに思い設計をしています。

INTERVIEW

設計部門建築グループ 東京オフィス 志村 直樹
エンジニアリング部門構造グループ 名古屋オフィス 加賀爪 康平
設計部門建築グループ 東京オフィス 野垣内 聡志

機能をデザインする

志村:生産施設は、企業で研究・開発された製品が生産者の思い通りにつくりだされることを主目的とする建物です。私たちはこの生産活動にいかに答え社会貢献できるかを考えながら、トータルデザインを提案しています。
私は、積水化学工業中間膜プロジェクトにおいて、車のフロントガラスの合わせガラスの間に装着する中間膜を製造する工場の設計を担当しました。その際、生産技術者からその中間膜を開発したきっかけについて話を伺うことがありました。当時、車のフロントガラスは強化ガラスを採用していましたが、破損した粒状の破片が飛散した事故例があり、破損しても破片が飛び散らないフロントガラスを開発したいと考えられたそうです。この話に私は感銘を受け、中間膜を製造する工場をデザインし、社会貢献したいと考えました。今では車のフロントガラスは中間膜を装着した合わせガラスがスタンダードで、日本をはじめ世界中に生産拠点を展開しており、私のデザインした工場も世界中にあります。
生産施設は、機能性を重要視するため単調でデザインしようがないとも思われがちですが、機能を理解し生産技術者の期待に応えた上で、唯一無二の建築デザインへ落とし込むことに挑戦することで、お互いの理念が一致した建築デザインが出来上がると信じています。

左:SEKISUI S-lec(タイ ラヨン県 2000年) 右:SEKISUI S-lec(オランダ ルールモント 2020年)
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物流施設における「床」の仕様

加賀爪:物流施設は2024年問題などが注目される中で時代の移り変わりに柔軟に対応できる施設が求められていると考えます。
物流施設において、「床」に求められる仕様は施設内の機械化の需要が増える中で多岐にわたるため、「床」の品質は物流施設の設計において最初に抑えるべき必須条件です。 床の品質の指標は、耐ひび割れ、耐摩耗、平滑さ、色ムラの有無など多々あり、国外の基準を満足させる仕様などの要求性能もあります。要求水準を把握し、より高品質な床を実現すべく、設計時のみならず監理時に施工者と協力していく姿勢が重要と考えています。
メープルツリー筑紫野ロジスティックセンターは、世界的不動産会社であるメープルツリー・インベストメント・リミテッドの依頼により、国際的標準と仕様に基づき計画され、その床精度基準も仕様に組み込まれていたため、顧客の思いをくみ取り、設計方針、図面の細部の確認などを行い施工段階での顧客要求を満足することを確認しました。
床の仕様一つとっても新たな需要、新たな知見が数多く生まれている中で、日々学び続ける姿勢を続けたいと考えています。

メープルツリー筑紫野ロジスティックセンター(福岡県筑紫野市 2023年)

脱炭素社会に向けたゼロエネルギーの取り組み

野垣内:近年、生産施設は、単に生産設備の覆いを造るのではなく、温湿度管理、空気清浄度などを要する高機能が求められることが多くなっています。 またさらに、これからの生産施設は、脱炭素社会に向けた、ゼロエネルギー工場が求められる新たなフェイズに入っています。 サスティナブルな社会を実現するためにも、これまでに携わったさまざまな生産施設設計のノウハウを活用し、環境統合型の生産施設をご提案しています。
一方、物流施設とは、文字通り物が流れ動くための施設で、品物をストックする倉庫から、配送センターまで、大小さまざまな施設が存在します。最近ではネット通販の需要拡大から、大型の倉庫が次々に建てられています。 倉庫の設計というと、四角い箱型で簡単そうに思われるもしれません。しかし倉庫には、どのような物をどのように保管し、搬送するトラックをいかに効率的に入出庫させるか、また、大きな建物を経済的な構造にするにはどうすればよいのか、お客さんの希望を聞きながら綿密に計画されているのです。 大切な荷物とともに、設計のこだわりを詰め込んでいくことが必要となります。

福田交易株式会社 在庫管理センター(千葉県千葉市 2007年)

志村:今後も技術者同士ものづくりを共通言語に、機能をデザインすることを追求し、提案してゆきたいと考えています。

DESIGN STORY

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