東洋大学 朝霞キャンパス
- 埼玉県朝霞市
- 2024年
つながりを深め ひらめきを生む 命と食のイノベーション拠点
1. 生命、食環境分野のイノベーション拠点
本プロジェクトは東洋大学全体のキャンパス再編に伴い、朝霞キャンパスを新たに生命分野と食環境分野の集約拠点として再整備する事を目的とした事業である。新築及び改修合計約44,000 ㎡、外構約15,000 ㎡の整備を実施した。敷地内に点在する既存棟は新築部分と融合させる改修を行いキャンパス全体として一体性を感じられるよう考慮した。昨今の大学を取り巻く社会環境の変化やコロナ禍を経て、敷地の持つ課題と可能性もふまえ、「LiveSpark」というコンセプトを立案し学生や教職員にとって活き活きとした居場所づくりとイノベーションを促進させる建築の仕組みづくりを行った。
2. 大ケヤキにつながるプロムナードと緑豊かなランドスケープの創出
キャンパス整備における将来への発展性や周辺地域との連続性を考慮し、敷地外からキャンパス中央の大ケヤキの広場につながるプロムナードや緑豊かなオープンスペースを新たに整備しキャンパス自体が東洋大を体現するような個性的で魅力的なキャンパス創りに取り組んだ。点在する複数の既存校舎と新築建物を近接させることで一体性を高め、集約的に建物を配置する事により既存緑地を中心とした豊かなランドスケープを創出し、機能性向上とキャンパス環境向上を両立した。
3. 固有の地形と生命の根源である水を表現し構成した個性的で表情豊かな外観
低層部は、河岸段丘状の地形をモチーフとし隆起したエントランススロープや洞窟の中に入っていくような体験を創出し、中高層部は生命研究の拠点を連想させる水の表情をモチーフとし、中景で見える水のさざめきと遠景で見える水のゆらめきを金属パネルの表情の変化で表現した。地形と水の2つの要素で創られる個性的な外観は時間や天気、見る角度により多様な表情を生み出し、周囲を行き交う人々へキャンパスの個性を発信している。
4. 新たなイノベーションの場「パブリックレーン」の提案
「パブリックレーン」と名付けた回遊性のある幅広の共用廊下は、新発想の「ラボ空間」として学部学科の垣根を超えたコミュニケーションの場となるとともに、将来起こり得る設備変更や使い方の変更に対する柔軟性を向上させた。様々な場所で学生や教員の会話、食堂やラウンジを活用した授業などが行われることで、キャンパス内の様々な居場所で学部学科を横断したコミュニケーションが自然発生的に起きる環境創りを行った。キャンパス全体がイノベーションの創出の場として活用されている。
- 所在地
- 埼玉県朝霞市
- 構造
- S造
- 規模
- 地上9階
- 延床面積
- 31,540m2
- 主な用途
- 大学
- 竣工
- 2024年03月
- 撮影
- 株式会社川澄・小林研二写真事務所 中村 隆