川越市斎場
- 埼玉県川越市
- 2017年
鎮魂の風景を創る
■小江戸川越の火葬場
火葬場とはその地域に生まれ育った方が最後に荼毘に付される施設であり、遠方からも親族がその地に集う。本計画ではいぶし瓦の屋根や銀鼠色のタイル、格子をイメージさせる木調ルーバーにより小江戸川越らしさを表現した。また同じくいぶし瓦を葺いた葬儀場である「やすらぎのさと」(弊社設計)が前面道路を挟んで位置する。「やすらぎのさと」と調和する配置とすることでこの地に鎮魂の風景をつくることを目指した。
■機能的な儀式動線
厳粛な儀式の進行を可能にするには機能的な儀式動線が必要となる。ロータリーには長い車寄せと待機車線、3か所の風除室を設けることで、複数の葬家の入退場がスムーズにおこなえる施設とした。エントランスホールはダブルコリドール方式とし、通路として2分することで複数葬家の交錯を防ぎ、他葬家の入室時の滞留を迂回するバイパス機能を持たせている。
■故人の尊厳と葬家のプライバシー
儀式の諸室は天井形状と間接照明による空間演出をおこなった。告別室、見送りホールは儀式の進行方向へ天井が上昇する形状とし、荼毘に付され天へ昇るイメージとした。収骨室は中央部の天井折上げと間接照明により光の天蓋の下での収骨空間とした。葬家のプライバシーを守るため儀式の諸室は各葬家専用の個室とし、見送りホールの炉前扉は他葬家の火葬中のご遺体を意識しにくい壁と同材の化粧扉とした。
- 所在地
- 埼玉県川越市
- 構造
- RC造
- 規模
- 地上2階
- 延床面積
- 7,316m2
- 主な用途
- 斎場
- 竣工
- 2017年02月
- 撮影
- 有限会社スタジオバウハウス 吉見謙次郎
2018年 埼建賞
2018年 日本建築学会 作品選集2019