リニューアル/リノベーション
CONCEPT
豊富な改修ノウハウで価値を未来につなぐ
社会のニーズの変化に合わせてイメージ刷新を図る「リノベーション」、耐震性能の増強を図る「耐震改修」、機能性の向上や維持管理コストの低減を図る「設備改修」、さらに、社会環境の変化に合わせ用途を転換し有効活用を図る「コンバージョン」等のさまざまな改修メニューに対応します。
また、ホールなどの天井の安全確保のための改修(特定天井耐震改修)や、文化的・歴史的に価値の高い建築物の保存再生にも多くの実績があります。
INTERVIEW
「イメージの一新」と「街の活性化」
夛田:保存か全面改修か。建物をリニューアルするにあたっていくつか方針は分かれますが、私が今まで担当した改修プロジェクトで建築主から求められたのは、外壁等の保存ではなく、建物の「イメージの一新」でした。そのため単なる仕上げ材の更新ではなく、建物が新しく生まれ変わり施設の活気を取り戻すこと、さらに街自体の活性化につなげることを心がけています。
私が担当した船場センタービルリニューアルでは、繊維のまち・船場に因んで「織物」をモチーフにしたやわらかい外皮で既存の外壁を包みこむイメージを提案しました。以前は浮浪者がいるような暗い場所でしたが、夜はライトアップにより昼間と違った表情を見せ、閑散としたオフィス街のイメージを一新する街の灯りとなり、夜でも安心して歩ける街に生まれ変わりました。
既存建物を活かし時代の要請と融和
小野寺:私が担当した港区役所庁舎リニューアルでは、竣工セレモニーで「少なくともあと50年はこの庁舎を使い続けたい」との言葉を頂きました。庁舎は住民増等により手狭な状況ですが、フリーアドレス等の工夫をしながら、より良い運用が継続して進められています。
大規模改修では劣化更新と共に省エネやセキュリティ、災害対策やバリアフリー化等の庁舎機能を改善しました。エントランスホールは、東京都心に位置することや増上寺に近い近隣環境を考慮し和モダン風にすることで、既存の石貼壁と調和する、明るく親しみのある空間としています。また、エレベーターホールや最上階の食堂においても、「協定木材(みなとモデル二酸化炭素固定認証制度)」を活用し、区名に由来する東京湾の「波」の表情を設えることで、横基調の意匠性や歴史性になじむものとしました。区長室等の上級室や議場は、補修と復刻による改修としており、トータルとして既存の良さと時代の要請とが融和する改修プロジェクトになったと考えています。
「宙に浮く屋根」のデザインとコンセプトの継承
吉村:「1枚の垂れ下がった屋根が、競技場の上にかかっている。ただそれだけである。」
これは当社設計の蒲郡市民体育センターが竣工した1968年に建築雑誌に掲載されたコンセプトです。それから50年以上が経過し、一時は建て替え計画が進みましたが、長寿命化耐震改修へと方針が転換され、再び私たちの設計により、原設計のデザインとコンセプトを継承する機会に恵まれました。
長寿命化耐震改修の設計にあたっては、象徴的な宙に浮く屋根を残すべくさまざまな検討を重ね、最終的に屋根直下の窓から改修前と変わらず光が差し込むように、窓の外側に耐震補強を施すことにしました。この補強により外観・内観ともに大きく変えることなく、原設計そのままの形を残すことができました。
竣工当初から現在に至るまで、多くの市民から親しまれており、この改修で、建物の形状はそのままに、耐震性、機能性が大幅に改善されたことで、これからも引き続き多くの市民に親しまれ、長く利用され続けることを願っています。
夛田:私たちの建築の仕事の役割として、新しいモノを作るだけでなく「今あるモノを生かす」視点を持ち、限られた資源を有効活用する社会形成のために重要かつ可能性のある課題として、今後とも取り組んでいきたいと考えています。