ホテル/商業/住居

  • ハイアットプレイス東京ベイ

  • 読売銀座並木通りビル

  • MAX&Co Omotesando bldg./MAX & Co.表参道

  • 東洋大学国際学生寮 AI-House HUB-4

  • ららぽーと横浜

  • ラ チッタデッラ

CONCEPT

商業空間から時代にメッセージを発信する

創業時に当社が手掛けた仕事は日本橋白木屋百貨店です。伝統的に商業施設を得意とする事務所です。その伝統を受け継ぎ、時代のニーズに応えた商業施設を計画してきました。
商業・ホテルは、時代と共に業態が大きく変化するため、常に新たなメッセージ性を求めて設計しています。来訪者へのホスピタリティをいかに提供できるか、ハレの日をいかに演出できるかを考え抜き、デザインやアイデアの力で建築計画としてご提案します。

INTERVIEW

設計部門建築グループ 東京オフィス 神谷 俊雄
設計部門建築グループ 東京オフィス 小栗 俊治
設計部門建築グループ 東京オフィス 大泉 奈々恵
エンジニアリング部門環境グループ 東京オフィス 小竹 櫻
設計部門建築グループ 東京オフィス 横山 翔太

大規模商業施設との出会い

小栗:石本建築事務所とららぽーととの関わりは、2004年にまで遡ります。NEC横浜事業場の跡地において、郊外型大規模商業施設ららぽーと横浜の開発が決定し、コアアーキテクト選定のためのプロポーザルにより、私たちを選んでいただきました。基本設計、デザイン監修をデザインアーキテクトのTHE BUCHAN GROUP(オーストラリア)と協同したのですが、ららぽーとを代表する施設の一つとして今日に至っています。
ららぽーと横浜以降は、用地取得段階から配置計画に関わる機会もいただき、最近ではららぽーと福岡・ららぽーと門真/三井アウトレットパーク大阪門真・ららぽーと堺の基本設計業務のほか、国内施設で培った実績から、ららぽーと上海金橋・ららぽーと台中・ららぽーとブキッ・ビンタンシティセンターなど海外の開発においても、基本計画から実施設計まで、日本的商業施設の視点で設計を支援する立場で携わらせていただいています。
時代とともに「ららぽーと」のコンセプトも変わり、施設構成も変化を続けていますが、これからも地域に貢献できる大規模商業施設計画の一端を担うことができればと考えています。

ららぽーと横浜(基本設計)(神奈川県横浜市 2007年)
ららぽーと福岡(基本設計)(福岡県福岡市 2022年)
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地域に愛される新しい時代の商業施設を目指して

大泉ららぽーとのような大規模商業施設の計画から竣工に至るまでには、長期の検討・設計期間を要します。ららぽーと堺の設計は、ネットショッピングが成熟し、コロナ禍にも遭い、実店舗に来てもらうことの意義をより深く考える時期と重なりました。
そこで、ららぽーと堺では、ここでしか味わえない新しい体験価値の提供、地域に愛される日常と高揚感ある非日常の両立、社会のライフスタイルに追従するネットとの連携など、新しい時代の商業施設にふさわしい取り組みを行いました。施設中央のスタジアムコート(Fansta XROSS STADIUM)は、スタジアムフードホールに囲まれ、日常ではテイクアウトのフードを食べながらピクニック気分が味わえる公園的空間、非日常では本格的な照明や音響・映像設備を用いたイベントによる熱狂空間とすることを図りました。

ららぽーと堺(基本設計)(大阪府堺市 2022年)

今、求められる環境配慮の商業施設

小竹:商業施設では、まずはお客様に対してワクワク感や快適性を、出店するテナントに対しては不自由なく運営ができる設備環境を整えることが重要です。同時に事業主は建築時・運用時のローコスト化、脱炭素化も重視しています。 特に照明に関しては、従来の照度ベースの設計ではなく、十分な明るさを確保しつつ消費電力削減が期待できる、「明るさ感」を考慮した設計というものが近頃議論に上がります。
先輩方が築き上げてきた経験、信頼関係を継続しつつ、変わり続ける社会情勢に対するZEB化やSDGsに関する建築主の思想を理解し、次代の商業施設を形にするために設計者から積極的な提案をしていきたいと考えています。 実際にオープンした施設の視察を通して、様々な課題をインプットし、次の物件にフィードバックしていきます。

ららぽーと門真/三井アウトレットパーク大阪門真(基本設計)(大阪府門真市 2023年)

唯一無二を未来に紡ぐ

神谷:私たちは、創業以来多くの宿泊施設の設計に携わってきましたが、そのなかでも、ここにご紹介する富士屋ホテルのリニューアルは特に印象的なプロジェクトであったと思います。
富士屋ホテルは、創業140年を超えるクラックホテルとして歴史的文化遺産という社会的な存在であり、明治から昭和まで、それぞれの時代の要請と歴代の経営者の思いが尽くされた個性ある建築群が、歴史的積層として、ひとつに連携した有機体です。このプロジェクトは、その存在をいかに後世に引き継ぐか、そこに本来的に存在する価値を的確に見極め、その価値を高め、さらに、そこに新しいレイヤーを加え、いかに、今後50年後、100年後までお客様に愛され続けるホテルとして蘇らせるかが、大きな課題でした。
数多く残る当時のお客様の写ったホテルの写真に想いを馳せつつ、耐震・防災改修を行っても姿を変えることのない復元設計に最大限の努力を払い、一部は建築基準法適用除外の手法も取り入れながらこれを実現しました。バリアフリー対応のエレベーターの増築、客室の水回りの全面リニューアルや温泉スバの整備、最新式の厨房、旧カスケードルームの文化財的価値のある内装意匠の新築RC造建物内への全面移設等によって、快適性・機能性を向上し、歴史的空間での最高級のサービス提供を可能とし、お客様に歴史的文化的資産を心から享受していただけるホテルを実現することが出来ました。

富士屋ホテル耐震改修(神奈川県足柄下郡箱根町 2022年)

緩やかなコミュニティを育む交流の場

横山:私たちは、早稲田大学中野国際コミュニティプラザ長野県立大学象山寮麗澤大学Global Dormitoryなど多くの学生寮の設計実績を有しています。大学の学生寮は、同じ大学に通う、国籍も学部も異なるさまざまな人が集まって暮らす場です。多種多様な個を収める統一されたボックスを用意するのではなく、学生寮として、個々のプライベートな活動範囲を保ちながらも、一つひとつの個が別の個の存在を浮かび上がらせ、関係性が連続する、そんな建築を実現したいと考えています。
東洋大学国際学生寮 AI-House HUB-4は、300人の日本人学生・留学生が住む国際学生寮です。個室群前にある大きな回遊性のある回廊は移動空間であると同時に、停滞する場として洗面台・シャワー・小上がり・畳・ソファなどが点在する生活の小径です。この径を縫うように歩く時、何かに出会い、足を止める。あるいは窓越しに誰かが自分を見つけて、ぐるりと回り近づいてくることが起こります。多種多様な個が自由に活動しながら、賑やかに過ごす場となるような、緩やかなコミュニティを育むことが、集まって住むことの可能性の1つであると考えています。

東洋大学国際学生寮 AI-House HUB-4(東京都北区 2022年)

DESIGN STORY

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