周南地区衛生施設組合斎場 想い出の杜ホール

  • 山口県下松市
  • 2025年

大屋根と緑に包まれた癒しの斎場

計画地は湾岸部の工場地帯に位置し、敷地内にはかつての清掃工場建設時に植栽された既存林が残されていた。今回、この既存林を土地の歴史を継承する「想い出の森」として再整備した。
外観は、建物高さを抑えた切妻型の大屋根による、斎場にふさわしい厳粛なデザインとした。また、落ち着いた色彩で静かに佇むような、周辺となじむ景観づくりを行い、地域の人々に愛される斎場の姿を目指した。
車寄せは奥行11mの国産杉材の軒天井とし、温かみのある落ち着いた空間で会葬者を迎え入れる。エントランスホールは、化粧壁によるダブルコリドール方式で通路を二分し、会葬者同士の交錯を防ぐ一方通行の動線としている。エントランスホールから告別・収骨室にかけては、車寄せから続く木調天井の高さが変化し、炉前扉上部ではハイサイドライトからの自然光を取り入れることで、「天に昇る」イメージを演出している。炉前扉は、他葬家の火葬中のご遺体が意識されにくいよう、床・壁と同材の花崗岩を使用した化粧扉とした。
2階は、会葬者の心情や状況に応じて居場所を選択できる待合エリアとしている。葬送の格調高さを演出した1階とは対照的に、会葬者が落ち着いて過ごすことができるよう、大屋根を意識した勾配天井によるヒューマンスケールの創出や仕上げ選定を行った。

所在地
山口県下松市
構造
RC造/一部S造
規模
地上2階建て
延床面積
4,062m2
主な用途
斎場
竣工
2025年03月
撮影
有限会社宇和写真広島 井尻雅之
備考

設計JV: 石本・巽設計共同企業体

主な実績