上越斎場
- 新潟県上越市
- 2024年
「上越らしさ」を散りばめる
「上越市ならではの斎場」の実現に向け、地域の気候風土や文化、葬習慣などを熟知する地元施工者等と設計段階から協働することで、この地にふさわしい個性と、高い機能性を備えた斎場を具現化している。
周囲の景観に配慮した雪国の斎場
周囲の豊かな自然に調和した勾配屋根が架かる斎場とした。積雪を考慮し、勾配屋根とフラットルーフを組み合わせることで、一度に大量の落雪が起きないよう配慮した。車寄せに架かる、雁木を意識した大きな庇は、海からの強雨や降雪から柩を守る。庇の軒にふんだんに使用した上越市産の木材が、斎場らしい厳粛さを演出する。
待合室からは遠く日本海を望む。ふるさとの風景が、故人を見送った日の記憶に寄り添う。
「上越の手」を結集
市内の工芸家やアーティストの作品をインテリアに取り込み、上越らしい斎場、利用者がふるさとに誇りを持てる斎場を目指した。エントランスでは、猪俣美術建具店の壮麗な組子細工による化粧壁が来館者を迎える。待合ゾーンに散りばめられた、イラストレーターひぐちキミヨ氏の絵画やガラス工房ファラジの装飾が遺族を優しく包み、ソファセットのテーブルを飾る吉田バテンレース社による繊細なクロスが、上越伝統の技術を伝える。
※「上越の手」:施工会社をはじめとする地元の建設関連企業、市内の工芸家やアーティストなど、そして発注者である上越市が、郷土の斎場を「『上越の手』でつくりあげる」というスローガンのもとで結束し、プロジェクトを遂行しました。
葬儀の厳粛性、将来にわたる柔軟性などに配慮
場内を左右2つの待合ゾーンに分ける平面計画や、化粧壁で緩やかに2列に分割されたエントランスホールによって複数葬家の交錯を抑制することで、厳粛な葬儀を円滑に執り行えるよう配慮した。
今後想定される火葬件数の増加に備え、告別収骨予備室を設置するなど、将来にわたるフレキシビリティも考慮した。
- 所在地
- 新潟県上越市
- 構造
- RC造/S造
- 規模
- 地上2階
- 延床面積
- 2,439m2
- 主な用途
- 斎場
- 竣工
- 2024年11月
- 撮影
- 株式会社タキサン
- 備考
共同設計:株式会社アイ建築研究所