知多南部斎場

愛知県南知多町と美浜町は漁業や廻船業で栄え、漁港には今も古き時代からの町並みが広がっている。火葬場は歴史ある、古くから親しまれた町並みを取り入れた外観を目指した。建物全体は瓦屋根とし、漁港の街並みの屋根の連なりを各ゾーンの屋根により表現した。待合空間は、自宅から故人を送り出すような家庭的スケールの空間とし、大小様々な屋根と周囲にある山並みが調和するような屋根の連なる火葬場とした。火葬・待合エリアは２ゾーン化することで1ゾーン１葬家の利用とし、他葬家との交錯がなく独立性を高めた。告別、火葬空間は厳粛な空間として、ハイサイドライトからの自然採光や柔らかな曲面の天井、間接照明で空へ昇る故人へ思いを馳せる場としている。待合ロビーや待合室は木を基調とした柔らかい空間とした。里山で自然に見られる潜在自然植生から植栽を選択し、里山と火葬場の植栽が一体となりながら火葬場を包み込み豊かな風景が育っていく環境を実現した。