STATION Ai

本施設は2万㎡を超えるスタートアップ支援の専用施設として、既有のインキュベーション施設とはまったく異なる前例のない施設のあり方が求められた。スタートアップがここに集まることの最大の価値は、同じ志を有するスタートアップ同士、そして彼らをサポートするパートナー企業との間に創出される「繋がり」であり、建築はそれが構築されるための基盤であると捉えた。凄まじい速度で革新を続けるその活動に追従し、想像を超える繋がり方に応えるために、空間や機能が箱として完結することなく、でき得る限り素の基盤のままであり続ける建築の姿を目指した。

各階の南北のフロアをスキップさせ、その東西両端を段床状のラウンジによって接続することで、1階から6階までを総延長1kmにおよぶ螺旋状のワンプレートで構成している。このプレート上にはバラエティに富んだワークスペースに加え、知識、技術、生活面など全方位的にスタートアップを支援するさまざまな機能が、空間的・視覚的連続性を保ちながら配置される。

建物中央部に設けた吹抜により、施設内で繰り広げられるシーンが広角的に展開される。吹抜内に配置した各床をつなぐスロープは、イノベーションを推進するスマートビルとして、入居者を支援するロボットの運用を前提とした建築計画の一端を担っていく。