白川町役場
- 岐阜県加茂郡白川町
- 2025年
「庁舎づくり」からつながる「ひとづくり」「まちづくり」
白川町役場は、人口約6,700人、豊かな自然に囲まれた町土の87%を森林が占める東濃桧の産地に建つ木造建築である。庁舎の移転を契機に、周辺公共施設と連携した「賑わいの軸」を形成することで地域の新たな中心をつくり、人と人がつながる地域完結型の庁舎づくりを目指した。
「誇りである木を使い切る、白川町の心象風景となる佇まい」
美しい白川や谷地の町並みに沿った約100mにわたる流線形の建築は、雄大な山並みに穏やかに寄り添い、町の風景となって佇む。建築の主題を「地域性」と定め、地域資源や風景、この町らしさを建築へ丁寧に織り込んだ。天然乾燥した町産材がもつ木本来の色や艶、香りに包まれた内部空間は、ダイナミックな木架構と人に寄り添う繊細なスケールが共存し、訪れる人にも働く人にも心地よい居場所となっている。
敷地は浸水の可能性があるため、1階を鉄筋コンクリート造、2階を白川町産材100%による金物を用いない木造架構で構成し、地域資源を可視化する建築とした。町の誇りである東濃桧を余すことなく活用するため、構造材に加え、丸太の化粧型枠や製材時に生まれる端材までを建築全体に取り入れている。また、山林調査をもとに木材供給体制を整え、乾燥・製材・プレカット・施工までを地域の事業者とともにつくり上げることで、地域の木を地域で使い、地域に還す仕組みを実現した。
庁舎の中心には、美しい木架構が広がる吹抜空間と、誰もが利用できる開かれた議場やカフェを設えている。それらは、基本計画段階から幾度も重ねたワークショップを通して町民の想いをかたちにした空間である。
建築は完成した瞬間ではなく、人々に使われ続ける時間の中で育っていく。この庁舎が町民の日常に寄り添い、白川町の心象風景の一部として未来へ受け継がれていくことを願っている。
- 所在地
- 岐阜県加茂郡白川町
- 構造
- RC造/W造
- 規模
- 地上2階
- 延床面積
- 2,682m2
- 主な用途
- 庁舎
- 竣工
- 2025年11月
- 撮影
- 株式会社川澄・小林研二写真事務所 船来 洋志/三井 笑奈
- 備考
構造設計協力:杉本将基構造設計事務所



