教育施設
CONCEPT
学校づくりは、人づくり・まちづくり
学びの多様化に伴い、個人に合った学びと協働的な学び、柔軟で創造的な学習空間が子どもたちの未来を育みます。そして、地域と共に連携・協働していく活動・交流拠点としての共創空間の実現は、将来のまちづくりにつながっていきます。
将来を担う子どもたち一人ひとりの可能性を引き出し、地域と共に成長していく、新しい時代の学び舎「未来の学校」をご提案します。
INTERVIEW
「学びの進化」に対応する学校建築
教育メニューの多様化への対応
矢作:近年の教育施設においては、小中高から大学・専門学校などまで共通して、教室の中での学びだけではなく、多様な学習環境の中で、他者との関わりを持ち学び育つことを意図したオープンスクールの流れが定着しています。
さらに、自ら課題を探求する自主的な学びや、学科間・教科間の連携交流といった新しい取り組みによって、ますます「学びの進化」が起きていると感じます。
まず、小中学校の設計における潮流とその対応についてはいかがでしょう。
坂本:板橋区立上板橋第二中学校では「教科センター方式」を実践していまして、教科のまとまりをしっかりつくりつつ、学年のまとまりも崩さない、という「立ち寄り型教科センター方式」の考え方に基づいて設計を進めました。この形式は、普通教室で完結する学びと違い、授業ごとに教科ゾーンに生徒が体を動かして自ら学びの場に行くことが基本となります。実際に授業の様子を見る機会がありましたが、生徒たちが課題を決めて、限られた時間の中でその課題に集中して取り組む様子が見られました。これはこの方式の成果のひとつだと考えます。
矢作:坂本さんが設計を担当している豊島区立千川中学校では、STEAM教育を取り入れるということですが、その施設の特徴なども教えてください。
坂本:STEAM教育も、教室の中ですべての授業を完結しないという点は共通しています。そのうえで、教科メディア同士の「化学反応」で更なる次の学びを見つける、新たな発見に出会うというねらいがあります。たとえば、美術と家庭科が結びつくと服飾デザインが生まれる、美術と技術科目の融合でアート&クラフトが形になる、などそれぞれの教科間で生まれるコラボレーションがその場所で現象として「起きる」ように、建築として仕掛けることを意識しています。
具体的には、教育空間としてコモンズをきちんと構成することが重要であると考えます。図書館を中心としたラーニングコモンズ、各学年のまとまりをつくる学年コモンズや教科コモンズ、教職員コモンズなど学校だからこそ生まれるコラボレーションを誘発するように構成することがポイントです。
また、それらの活動や作品を外部に見せることも、STEAMコモンズを持続する上でのひとつの重要なポイントと考えています。豊島区立千川中学校においては、それを目的として「アクティブウォール」と名付けたガラスのカーテンウォールを通して、展示されている生徒たちの作品・成果を地域の人を含め、見る見られる関係を生む仕掛けを計画しています。
これら2校の設計を通して、教科というカテゴリーが解体され別の構成に再構築されることが、これからの潮流になるであろうという実感を得ています。
本村:私も、小学校・中学校の設計を経験していますが、学びの進化、例えばギガスクールやICT教育など、文科省が掲げている新たな教育方針に真摯に向き合いながら、それらを具現化するために建築的な提案をすることが私たちの使命だと思い、取り組んでいます。
ただ、新しい方式に対応しながらも、子どもたちが過ごす環境や教えること、学ぶことといった学校教育において大切にすべき基本的なことは昔も今も大きく変わるものではないという視点も忘れてはならないと思います。
野間:本村さんの言われる、「変わるもの、変わらないもの」の双方を大切にするという考え方は、私たちの設計に対する姿勢についても言えると思います。例えば小学校だと学年のまとまりを創ることや子供たちの成長に合わせた場所づくりなどは「変わらないもの」で、その上でどういう学びの場を創るのかが毎回チャレンジであり、「変わるもの」であるべきだと思います。
学校建築は、基本となる計画学が確立しているので、画一的になっても不思議ではないところ、当社ではかなり多様な学びの場を提供している実績があります。それは各担当者が知恵を出しチャレンジしていることを物語っていると思います。
キャンパス全体が学びの場
本村:「学校全体が学びの場」という考え方が、大学のキャンパス計画において実践されています。それも学びの進化のひとつと考えますが、いかがでしょう。
矢作:長野県立大学は、2018年に長野の市街地に設置された新設の県立大学です。長野県は首都圏に近く人材流出という問題を抱えており、持続可能な社会づくりのために「地域のリーダーの育成」が大きな課題となっていました。このプロジェクトにおいては、地域の課題を自ら設定し解決できる能力を持った学生を育てることを、最初に理念として掲げていました。
そこで私たちが提案したのが、市街地をキャンパスの延長としてとらえて、大学の活動が実際の街とダイレクトにつながっていることを意識づける「街のようなキャンパス」というコンセプトです。
街は、大まかにいえば、建物(イエ)と共用部(ミチ)に分けられますが、これをキャンパス構成にあてはめて、教室や実習室などの専有部を「イエ」、廊下などの共用部を「ミチ」と位置付けて計画しています。
共用部でさまざまな活動が展開されることを意図して、共用部「ミチ」の面積を可能な限り確保できるような計画を検討しました。研究室の面積を少し小さくし、その分共用部に割り当ててそこに豊かな空間を提案しました。それが、学生や先生方が研究室に閉じこもらず積極的に共用部に出て活動することにつながっています。
また、教室「イエ」には、利用率の低い部分を他に転用する「重ね使い」ができるような工夫を施しています。そういった専有部の効率化も、共用部を広く豊かな場所にすることに寄与しています。
郊外に立地しておりキャンパス内で学生の一日の生活が完結することも多いので、いろいろな場所を意図的に設けることで、自身の居場所になるだけではなく、ふとした瞬間に他の学生の学ぶ姿や活動が目に入って刺激を受けることで自分の学習意欲につながるという相乗効果や、学生や教員との自然な交流が生まれることを意図しました。
また、キャンパスとともに設計した学生寮はキャンパスとは異なる中心市街地に立地しています。あえて街を経由して往来することで、学生が地域と直接接触する機会が増え、地域の現状をリアルに感じたり、課題が見えてくることで、大学での地域課題に取り組む意識にもつながっています。開学後に関係者から伺った話ですが、在学中にお店を開いたり起業する学生もすでに現れているそうで、コンセプトからのキャンパスづくりが実際の活動につながっていることを実感できました。
「学校全体が学びの場」というテーマで言えば、東海大学阿蘇くまもと臨空キャンパスも挙げられますが、熊本の広大な敷地におけるキャンパス整備にあたっての設計の手がかりやコンセプトなどを紹介してください。
野間:東海大学阿蘇くまもと臨空キャンパスは、2016年の熊本地震で甚大な被害を受けた農学部キャンパスを阿蘇くまもと空港に隣接する東海大学の宇宙情報センターの敷地に移転・再建するプロジェクトです。空港横の敷地は約11haあり、日本と世界、都市と農村、全国各地にある東海大キャンパスとのつながりやすい全国でも珍しい場所です。
東海大学農学部の特徴として、講義と実習、研究が一つの場所で実践できる学びの場を提供してきたことがあげられます。この強みを臨空キャンパスにも引き継ぎ、講義・実習・研究がひとつになった総合的農学研究の場「CREATIVE-ONE Village」とすること、まさに「学校全体が学びの場」とすることを求められました。
私たちは、キャンパス中央に配置した中心施設の2号館の中庭に「キャンパス広場」を創り学生活動と出会いの拠点として位置づけました。この広場を起点に、2号館は農学部3学科が連携しやすいロの字型校舎の「ラーニングリング」、その外側に学生や農機具の移動のための実習動線「アグリリング」を計画し、この3つにより多様な学びを有機的に結びつける構成としています。
学生や先生の側から見ると、キャンパスの中で講義・実習・研究を幅広く行なう施設が全て一体となっているところが大きな特徴で、「学び」以外でも「生活」の場となることを意識して、さまざまな「居場所」をつくることを心がけました。
屋外では地域住民との交流の場となる広場や、阿蘇の風が心地よい屋根下や軒下空間、屋内には学びの空間ラーニングコモンズ、研究室の前にある休憩場所のほか、食事がとれるラウンジなど、学生の居場所を点在させることを設計のテーマにしました。学生が歩きながら居場所を自ら見つけていく、歩けば至る所で何かに出くわす、またその動きが見えるような空間となっています。
「生活の場」としての学校建築
健やかな学習空間・生活空間の実現
野間:いまお話ししたように、学校建築には「学び」とともに「生活」を支えるという役割があります。「学び」と「生活」との距離感は、小中学校と大学とでは少し違うという印象を持っています。 特に小学校は学びの場がそのまま生活の場になっていることが顕著だと思いますが、中津川市立福岡小学校の、子どもたちが階段の周りを走り回っている写真からは、低学年から高学年までの子どもたちのまとまりが感じられ、楽しげな生活空間が展開しているという印象を受けました。
本村:中津川市立福岡小学校は隣に中学校があり、小中一体校のような配置となっています。学年間の交流を促進する目的で、昇降口付近に学年にかかわらず「必ず通る場所」をつくっています。当初は学年間の交わりによって何らかの問題(体格差や力の差から生じるもの)が発生することを心配する声もありましたが、実際には、問題なく低学年・高学年が同じ場所を使用し、異学年交流が起きています。また、中学校の生徒たちもここで一緒に活動してくれることを期待して昇降口正面の位置に多目的広場を計画しています。
校舎内部における大きな特徴は、2.73mモジュールで配置された細い木造柱に囲まれた小さな空間が連続する空間構成です。その小さな空間や木造の柱を、子どもたちが自ら使い方を生み出しながら、居場所・遊び場所にしています。中にはこちらの想像を超えた使い方をしている子も見られて、設計サイドからするととても喜ばしく感動的な場面でしたね。そういう私たちの想像を超えた使われ方が、次の学校を設計する際のヒントになるものと感じています。
野間:そういった象徴的な空間が子どもたちの記憶に残るのでしょうね。「子供たちの原風景となる校舎」というコンセプトを掲げたと伺っていますが、まさにそれが具現化されているのではないでしょうか。
「家庭の延長」という感覚
坂本:学校を「生活の場」ととらえて、学校にいる時間を家庭にいる時間の延長のような感覚になってもらえるような空間づくりを意識しています。 板橋区立上板橋第二中学校は、教室間の移動が多いので、階段やトイレ、手洗いなどの水回りをより魅力的で「行きたい場所」にすることが重要だと考え設計しました。 特にトイレは、いわゆる4K(暗い・汚い・臭い・怖い)と呼ばれる悪いイメージがあると、使われ方が雑になるだけではなく、子どもたちの作法・所作が失われるきっかけになってしまう恐れがあります。「居室のようなトイレ」をコンセプトとして、カーテンウォールに面する窓際に手洗いを計画するなど、明るいトイレ空間をデザインしています。
児童・生徒同士の交流を促進する
坂本:いわゆる「中一ギャップ」の問題についてですが、先ほど話題になった異学年間の交流の促進というのも、そのアプローチのひとつかと思います。また、同学年のメンバーが変わらず馴染みやすいというメリットのある、「小中一貫校」もこれから増えてくるものと考えます。
また、同様に気になっている考え方のひとつに「イエナプラン」という学びの形もよく耳にします。
先ほどの中津川市立福岡小学校では、その思想を持ち出すまでもなく、すでに自然発生的に異学年交流が実践できているようですね。建築がその可能性を秘めているという点で、すでに準備ができている好例ではないでしょうか。
矢作:昨年竣工した都立小中高一貫校は、小学校から中等教育学校までの12 年間一貫した教育が行われる、公立では全国初の学校です。図書室をメインとしたラーニングコモンズを学校の中心に配置して、小中高すべての児童生徒が共有する計画です。成長段階に合わせた書架の高さや配置で場所の個性を出し、様々な居場所が適度な距離感を持ちながら連続する空間とすることで異学年交流が発生することをねらって空間を提案しています。
野間:図書館を見学しましたが、小学生が中高生のいる中で勉強している光景を見て、違和感なく利用されている状況に感銘を受けました。
本村:学年の域を超えて触れ合う環境をつくることで、高学年は低学年を思いやり面倒を見る、低学年は高学年の姿を見て憧れ、影響を受ける、そういった気持ちが芽生えることを期待したいですね。
誰もが等しく学びに触れ合える環境づくり
矢作:異学年間の交流や、地域とのつながりなどの要素を含めた教育空間がある中で、「インクルーシブ教育」、すなわち、あえて要素を分けたり隠したりせず一緒に育っていくという発想もありますね。目黒区立東山小学校はそういったコンセプトで計画されていると思いますが、どのような提案を行なっているのでしょうか。
野間:目黒区立東山小学校においては、特別支援学級に入る児童を同列として扱う教育環境を整えることを目的として計画をしています。特別支援学級を普通教室と離して配置するケースが多い中で、この学校では普通教室の並びの中に置いて、みんな同じ仲間として交流できるように計画しています。具体的には、2階の低学年フロアの、図書館に近い位置に特別支援学級を配置して、みんなが利用する回遊動線の中に計画するという提案を積極的に行い実現した学校となっています。
本村:特別支援を含めた教育施設のあり方やこれまでに紹介頂いた教育施設の話を聞いて、「みんな一緒」という思想は今後も変わらない大切な要素ですね。その思想を具現化する建築を今後も積極的に提案していきたいとあらためて思いました。
地域や社会とのつながりによる「共創」の学校づくり
矢作:地域や社会とつながっていく、まちづくりにつながる、「共創」という発想が、最近の学校づくりのトレンドのひとつかと思います。 当社で取り組んだ、「地域との連携」、「地域材料の活用」や「地域の環境との調和」などを実践した教育施設について紹介してください。
地域のまちづくりの核
坂本:豊島区立千川中学校は、地域連携のための施設との複合化が一つの特徴です。1階に地域交流の場である地域交流スペースや地域開放する家庭科室があります。地域交流スペースと学校の図書館とが、立体的な空間でつながっています。これは、学校の図書や地域資料などを地域の財産として活かしたいという考えから計画されています。また、園児から高校生までの学びの場であるこども家庭支援センターを併設しており、地域全体の子育て・学びの場となっています。「つながりの丘」というコンセプトのもと計画されたこの施設の試みは、これからの「地域との共創」を考えるうえでひとつのスタイルになっていくと思います。
矢作:都心の小学校を例に挙げると、昨年度完成した池袋第一小学校は、限られた敷地に建つ積層型でコンパクトな小学校です。周囲に影が落ちないように段々な構成としている点や、「森の中の学校」というコンセプトのもと、建物や外構をふんだんに緑化しているところが特徴です。区内の、積極的に緑化を施した庁舎や公園、小中学校などの多くの緑の拠点との立体的な緑のネットワークを形成しており、まちづくりに寄与する学校建築のひとつの在り方と言えます。
地域の材料を活かす
矢作:地域の材料の活用事例としては、地域産材をふんだんに使用した中津川市立福岡小学校が最近の代表例かと思いますが、地域産材を使用するというコンセプトはどういったところから生まれてきたのでしょうか。
本村:プロポーザルの段階から地域産材である「東濃ヒノキ」を使用することが要望としてありました。ところが設計が始まってみると、地元の木材利用に関する意識・ノウハウが必ずしも十分ではないことに気付かされ、地元の木材を使用するための「仕組みづくり」から検討し提案させていただきました。
具体的には、地元で伐採した木材を地元で製材して使えるようにするというプロセスを大切にするために、木材の「先行調達」というシステムを構築しました。木材の調達から施工まで地域の方々とともに作り上げた、地元でやりきったという経験は、地元の方々の誇りになったのではないかと思っています。
構造材だけではなく、内装や家具にも地元ひのきを使っています。教室の机の天板も地元の木材を使用しています。結果として、使用した木材は約1,124㎥という規模になり、この建物だけで市全体の年間CO2削減目標をはるかに超える削減量を実現しています。
野間:東海大学くまもと臨空キャンパスにおいては、熊本県産材を使用することを大学から求められました。コストに余裕があったわけではないので使用量に制限を設けざるを得ませんでしたが、特に視認性が高い部分に構造部材・仕上げ材として木材を多用するなどメリハリをつけることで、インパクトのある、費用対効果の高いデザインに収れんできたと思います。
地域の環境との調和
矢作:長野県立大学においては、計画地である信州の、夏は涼しく寒い中間期が長いという気候特性に着目して、夜の空気を取り込んで負荷を減らすナイトパージを採用しています。共用部がひとつながりとなっている「ミチ」においては、自然エネルギーの積極的な活用として、部分的に外部に面させて自然通風を取り入れたり、3階の上部から空気を誘引させて喚起を促進するなどの仕組みを作っています。
環境面だけではなく、県の産業振興に貢献する取り組みとして、内装だけではなく外装にも積極的に県産材を使用しています。木材の実証的な使い方として、様々な樹種を組み合わせて外部の各所に用い、経年変化を観察できるような工夫を取り込むことで、建物全体を生きた教材のようにとらえて提案しました。その実証実験の結果が、ひいては企業に知見として蓄えられることで産業振興につながることを期待しています。これらの取り組み全体を「エコキャンパス」として提案しました。
野間:都立小中高一貫校はとても良くできていると思っています。
東京都では3階建て以上の小学校が当たり前のため、各教室に均等な自然採光を確保することが難しく、どうしても教室ごとの不均衡が生じることが多いです。この施設では、プランニングの工夫により最上階に全普通教室を配置し、トップライトを計画しています。都会の学校ではなかなかできないことを実現させていると評価しています。
また、印西市立牧の原小学校も「環境」を大きなテーマとして取り組んだ事例です。
屋上に達する専用の風の塔を設けて、階数や中廊下・片側廊下に関係なくすべての普通教室において同じ自然通風の環境を確保しています。外観の特徴となっている大きな庇についても、西日との関係をデジタル検証して寸法を決めています。共有部の高天井に人工照明を計画せずに、局所照明を採用しています。リアラプスを使って見える化の検証をし、法的に必要な照度を満足させつつ必要最低限の照明計画に成功しています。
本村:多気中学校では、計画地の制約等によって、メインの廊下などが西日の方向に面してしまうことが大きな課題でした。設計当初はとにかく西日を遮断することから考え始めましたが、それでは適切な自然採光・通風が確保できませんでした。そこで、遮断できないなら「西日とお友達になろう」と発想を転換し検証が始まりました。メインストリートとなる廊下の上部に計画していたハイサイドライトに「リブ」を配置する方針を立て、リブのピッチや角度、深さ寸法によって光の入り方が変わってくるので、当時のツールで手作り的なシミュレーションを行い検証しました。
シミュレーションの段階で、時期によっては天井面に光と影による不思議な模様ができることが分かりました(右の写真)。実際に現場でもその模様が確認できた時は、「検証は間違ってなかった」と安心するとともに、そこではじめて「西日とお友達になれた」と実感することが出来ました。この現象は春秋分のころ、一年間に数度だけ現れます。
矢作:光の動きや季節の変化を可視化することも環境教育の一環といえるのではないでしょうか。まさに、一見ネガティブにとらえられがちな要素にも真摯に向き合ってチャレンジする姿勢が実を結んだ好例と言えますね。
野間:年に数回しか起きないなら、その珍しい現象を観察するイベントなど企画できるんじゃないでしょうか(笑)。
矢作:本日、「学びの進化への対応」、「生活の場としての学校づくり」、「地域や社会との共創」という3つのテーマについての意見交換を通して、「学校づくりは、人づくり・まちづくり」という当社の理念を大切に、教育施設の設計に取り組んでいこうという思いを新たにしました。
子どもたちの未来をはぐくむ場所、そして、将来のまちづくりにつながる場所である新しい時代の学び舎=「未来の学校」を、これからも社会に提案する建築事務所でありたいと思います。