こもれび苑

滋賀県長浜市と米原市で組織する湖北広域行政事務センターにより整備された新斎場である。敷地は長浜市中心地から北上した山裾に位置する。三方を里山に囲まれた周辺環境に調和するように、建物を分節化し屋根の連なりや高さに配慮した。アプローチからは、緑豊かな中に落ち着きのある佇まいで会葬者を迎え入れる。
建物中央の車寄せエントランスから入ると、南北のユニットに分かれた平面構成となっている。複数の葬家による同時利用の際はユニットごとに動線が明確に区分され、他の葬家と交錯することなく、遺族のプライバシーに配慮した円滑な葬送の進行を実現している。
施設をユニット構成とすることで、火葬件数に応じて施設半分での稼働、運営が行える。年間利用件数のうち半数以上で、消費エネルギーの縮減や水光熱費・維持管理費の低減が可能となる。
斎場内には3つの中庭を配置した。湖北の風景である琵琶湖・余呉湖・伊吹山を中庭に表現し、静ひつで心安らぐ葬送の場を創出した。外部の縦格子や会葬空間の壁面には長浜市産木材を用いており、中庭とともに慣れ親しんだ地域性を感じられる、心落着く空間としている。