Ishimoto Awards

技術奨励賞2015

石本建築事務所では、社のコアバリューである「ランドスケープ」「グラフィック」「インテリア」「サスティナビリティ」を体現する優れた作品を選出し、 9月16日の創立記念式典で表彰している。直近1年間の竣工作品の中から、社員投票や推薦により10作品前後をノミネートし、役員会でのプレゼンテーションと現地視察を経て審査会で厳正に審査。ISHIMOTO全社を挙げての一大イベントであり、社員のモチベーションの源泉にもなっている。

技術奨励賞

すべてのコアバリューに対し総合的に優れた年間最優秀賞。デザインとエンジニアリング技術が高いレベルで融合し、顧客の経済活動に寄与する作品に与えられる。

ランドスケープ賞

建物と周辺環境との関係を読み解き、敷地そのものや内外空間のあり方ついて、空間的・時間的な展望を明らかにし、その場所に最適な環境を計画した作品賞。

グラフィック賞

建物の配置、ゾーニング、サイン、色彩計画など、建物を構成する様々な要素を、高い美意識と合理性をもってレイアウトすることで、情報が伝わりやすく心地よい空間を計画した作品賞。

インテリア賞

空間と人、人と人との関係性を考え、内外空間を結びつける創意工夫や、美しいプロポーションへの意識など、空間の魅力を高めるための付加価値を提案した作品賞。

サスティナビリティ賞

地球環境に配慮しながら、顧客の経済活動に寄与する作品賞。近年では、石本建築事務所を代表する作品すべてに備わる必要があるものとして、単独で受賞することはなくなっている。

特別賞

ISHIMOTOのコアバリューを備える優れた作品であるだけでなく、話題性やデザイン性に特筆すべきものがあり、ISHIMOTOのブランド力向上に大きく貢献した作品賞。

  • 2015
  • 2016
  • 2017

技術奨励賞
生駒市立病院

講 評
生駒市立病院は、指定管理者の医療法人徳洲会にて運営され、市内で不足する小児の二次医療や二次救急医療体制を充実する目的で計画された。
免震構造を採用し、奈良県の風土に根差したデザインと自然環境を取り入れた地域にふさわしい療養環境づくりや離床促進のための様々な工夫が盛り込まれている。これまでとは異なるアプローチによる説得力を持ったデザインが、医療環境の新しい表現方法を感じさせる。患者のアメニティーやスタッフのモチベーション向上に繋がる工夫は、これまでのプロジェクトにおいても、採用可能なレベルと感じられることが反面複雑な驚きともいえる。
デザイン面では印象的なモノトーンに竹の緑をアクセントに加えたデザインは、奈良県であることや市民の意識からも好まれる結果であった。外来では、共用空間に対し、コーナー部分に大きな円形の面取りを用いることで、空間の連続性とともに広がりを感じさせる。人の動線に白く浮雲の流れるような天井を用いたことも相乗の効果を感じる。病棟階は患者が自然を感じることをテーマに外部との連続性が効果的に設定され、季節や時間の変化を感じることができる。デイルーム以外にわずかな面積を割いて設けた談話コーナーの存在が印象的である。
外観には伝統建築の表情を感じさせる陰影の強い庇とPC版の組み合わせにより、地域性との調和を持つ表現としている。その中に外観のスケルトンインフィルという可変性とデザインの永続性を担保するコンセプトを付加したことが新しい。
審査会でも全員の支持があり、当社における病院設計の先入観による限界を超え、新たな可能性を気付かせるものとして、示唆に富んだ建築の創造を評価した。
受賞者コメント
生駒市の医療の中核として、クライアントの医療に対する高い志と思いを形にし、最適化した形で実現することを目指しました。外とつながる空間づくりをテーマとして、相反する高密度・高効率な病院計画と患者本位の空間を融合させ、利用する人たちのモチベーションを高める場づくりをしました。患者が安心して日々を過ごし、早期の退院を迎えることができれば、というのがチームの思いです。
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ランドスケープ賞
印西市立牧の原小学校
印西市牧の原地域交流センター
印西市立学童クラブ

講 評
千葉ニュータウン21住区の新たな街の中心に、病院とともに設けられた最初の公共施設であり、地域コミュニティの核となり、戸建て住宅誘致の推進に効果が期待される。小学校施設に加え、地域交流センター・学童クラブを併設し、大きな庇を用いた交流広場がこれらをシンボリックに繋ぎとめている。
街の成長とともに児童数の変化に応じた教室設定が求められ、短期間と想定される児童数のピーク時期に対応する不足分の5教室を仮設対応で提案することにより、建設費の調整や豊かな学校空間の創造に向けている。稼働しながら成長を見込む地域開放も、69名(H27.11.1時点)の児童とともに開発の初期から段階的に対応できるプランが計画されている。
学校のすべてを学びの場と位置づけ、ラーニングセンターを中心に置いた構成は近年の傾向を踏まえたものとなっている。教室ゾーンに設けた学年ハウスは成長に合わせた3種類の利用形態を提案している。異学年交流のラーニングセンターとともに、様々な学習の機会を生み出す想定が平面計画上の特徴といえる。また快適な学習環境のため、深い庇を用いた日射制御と雨天でも可能な窓による自然通風、季節に応じた卓越風を利用した教室ごとに設けた風の塔など、単純な仕組みと簡単な操作で活用できる手法を用いたエコスクールとなっている。
ここに集う児童や地域住民は、この場所に適した環境統合技術を意識せずに、昔からの生活に根差した光や風のコントロールを行いながら、自然との共生を体験する。エコスクールのシンボルと位置付けられる庇による効果は、デザイン上も建物をヒューマンスケールに、かつ内外空間の一体感を生む。十分な広さを持った校地を生かし、伸びやかに周辺の景観との一体化が図られた計画に対しランドスケープ賞として評価した。
受賞者コメント
新生する街に最初にできる公共施設として、街の魅力を高め、地域コミュニティの拠点となる場を目指しました。3つの施設に架渡した屋根によって生み出される交流広場が、児童や地域住民の多様な活動や交流を誘発し、施設を背景とした賑わいが新たな街の「いつもある風景」となるよう計画しています。街の成長に合わせて施設も変化、成熟し、共に歩んでいくような関係性がつくられることを願っています。
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インテリア賞
土岐市立濃南小学校

講 評
自然豊かな山間にある既存中学校の敷地に、2つの小学校を統合して増築するプロジェクトである。一体となる中学校との連携や地域のシンボルとなっている時計台、慣れ親しんだ中学校舎の外観や校地内を流れる一級河川肥田川など、地域の記憶の継承と新たな景観づくりがテーマとなるプロジェクトであった。
校庭側の前面道路から見ると既存校舎に重なるように配置された新校舎は、高さを抑え中央の昇降口部分の屋根を分離することにより、既存の時計台を景観に残している。中学校舎と肥田川をはさみ中庭とする構成により、体育館を共用する連携スタイルであり、豊かな自然に包まれた環境をそれぞれの空間に残しながら一体感を持たせている。
新校舎は主体を木造とし、機能の異なる2棟それぞれの空間設定にふさわしい木架構をデザインしている。校舎棟は明解な片廊下式であるが明るい南東面にはワークスペースを配し、トップライトからの光が共用部とともに教室内にも届けられている。一列に配された教室まわりの構成は、小さな校舎であるが2階テラスを挟み一体となるワークスペースの連続により、児童が生きいきと集うことが想像される伸びやかな空間を生み出した。多目的棟は多様な機能を持たせることにより、日常から集会まで使い倒す身近な存在であるが、丸太の列柱に架けた交差張弦梁が象徴的な内部空間は、新たなシンボルとしての存在感を持つ。
小規模の校舎計画であるが、プロジェクトの特性を生かして全面的に採用した木構造は、特に露出した小屋組みの部分で木材の組み方を工夫したオリジナルデザインとなっている。自然環境を生かしたエコスクールの設定もデザインに組込まれ、高度な計画技術の中に優しさと温もりを感じさせるデザイン技術に対しインテリア賞として評価した。
受賞者コメント
石本は構造・環境スタッフもいる総合事務所です。今回は木構造をデザインの主役にする事、それに相応しい照明計画とする事、また木造は設備機器・配線配管等収まりが非常に難しい事から、総合事務所の特性を生かし、いつにも増して蜜に打合と試行錯誤を重ねました。木造設計は特に分野間の調整が欠かせないことを担当者全員が理解し、力を合わせてコラボレーションの理想を示した事が、質の高いデザインを生み出したと考えています。
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インテリア賞
江戸川区立船堀小学校

講 評
住宅街にあって近隣住民への影響を最小限化することが求められた学校の計画は、開放的な空間を求める教育環境に対し厳しい制約となっている。校庭が広がる南側やグリーンロードを持つ緑豊かな東側以外は、徹底して視線のブロックと騒音対策に配慮する計画となっている。
4層に積み上がった校舎は、中庭を設けたスタンダードな平面構成である。校庭に面し一列に並べた教室は、3層に重ねた単調な構成であるが、彫の深いバルコニーのグリッドフレームとともに2階低学年教室にアルコーブのボックスを組みこむことで、単調になりがちなファサードに変化を与え表情の個性化が図られた。
学校の中心となるラーニングセンターや廊下等の共用空間は、近隣対策により内向きに配置しているが、空中に飛び出す「コーナー」を持つ2つの中庭を挿入することで、開放感と視線のつながりで校内活動の高揚感を共有する空間となっている。児童は多様な視覚的交流や自然や時間の移ろいを感じることが出来る。
様々な位置に配した「コーナー」や大胆な階段状の絵本コーナーなど多様な機能性を発揮するアイデアが、学校側の理解も進み使いこなし始めているように感じられた。近隣対策により外に閉じた計画であっても、明るく生きいきとした開放的な校内環境が実現できたことを評価してインテリア賞とした。
受賞者コメント
ひとりで居てもみんなで居ても居心地の良い学校にするためにどのような工夫ができるか、ということを、関係者みんなで考えました。
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グラフィック賞
相模女子大学新5号館

講 評
市街地におけるキャンパス内で移転新築する5号館は、栄養科学部の実験実習・調理研究用の教室を中心に構成される。経年による建替え等の再整備は今後も継続するため、当該施設では、将来の用途変更にも対応できる柔軟性を持った空間づくりが求められた。
住宅に近接した立地環境なども勘案し、工事騒音配慮・工期短縮も含め建物内のフレキシビリティーを実現する空間性能を確保するために、プレキャストプレストレストコンクリート構造を採用している。桁行き方向の耐震壁は市松状配置により単体での効果とともに全体でのブレース効果を見出した。梁間方向は妻側両端部の耐震壁に集約し、アウトフレーム化した柱配置により長さ60m、奥行12mの無柱空間を実現している。
徹底したフレキシビリティーの追求はメカニカルバルコニーへの自由なダクトルート確保のためのT型床板の間や二重床構造、エネルギー供給エリアの細分化、分電盤やPSの予備スペースの想定を行い、改修工事はフロア内だけの工事で完結できる計画となっている。
工業製品化に徹した構造に対し、現在のサッシュなどの建築部品は、ダブルシール対応や欠き込みの無い躯体との納まりも進んでおり、工場にてシンプルで同じ形状を繰り返し製作するだけの躯体製作が可能となった。精度の高いPC躯体を利用し仕上工事を減らしたデザインは、将来の用途や領域変更時にも容易に改修できる。PCを用い徹底した合理性の追求が建築デザインを決定づける要素となっており、グラフィックな躯体とともに周辺建築材料の追従が叶い、新たなインダストリアルデザインの道を開いている。
受賞者コメント
顧客からの要望である「100年使える教育空間」を旗印のもと、意匠・構造・電気・機械が一丸となって取り組んできたプロジェクトです。相模女子大学管財課、栄養科学部の皆様との綿密なコミュニケーション、大成建設工事チームとのチームワークなくして、この受賞はなかったと思います。これからの100年、時代のニーズに応じて、柔軟な対応をし続ける教育施設として、永く使用し続けられていくことを願っています。
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特別賞
2015年ミラノ国際博覧会日本館

講 評
イタリアに拠点を持った当社ならではの力が発揮されたプロジェクトである。日本を建築として表現するために、建築プロデューサーのディレクションのもと、設計・監理を行った。ミラノ博のテーマである「食」に対し、日本の食材が生まれる気候・風土・文化に注目し、里山と里海に養分を供給する豊かな水源森林の健康を保つために切り出した木材の活用・古(いにしえ)の知恵を現代に活かす技術をアピールしている。
パビリオンの外観を構成する立体木格子は、現地の法規制や万博規則などから本体の構造としてではなく、自立する外壁として成立させている。 この立体木格子が現代が求めるエコロジカルなデザインと日本の持つ文化・技術の融合を感じさせる印象的なたたずまいを作っている。屋内外に連続する展示のルートは、立体的に浮遊感を持つデザインで演出されており、施設を包み込む立体木格子の演出とともにイタリアではデザインの美しさが高く評価された。
140もの参加国の中でもデザイン面での高い評価により、日本国内はもとよりイタリア国内では多くの雑誌・専門誌に取り上げられている。その実績を評価して特別賞とした。なお、日本館は展示デザイン部門で金賞を受賞している。
受賞者コメント
テーマが「食」、開催地が「ミラノ」の万博ということで、ぜひ取り組みたいプロジェクトでした。プロポーザルで当選でき、良かったと思います。その後設計、監理、そして会期中と、様々なハードルがあり、ナショナルプロジェクトの責任の重さを痛感しました。日伊のチーム全員が「美意識」と「心意気」を持って取り組み、結果的には世界各国の多くの人に日本館を体験していただけたことは、チーム一同、うれしい限りです。
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ランドスケープ賞
船場センタービル

講 評
建物の南北面を合わせれば総延長2,000メートルの街並み(外壁)改修プロジェクトである。大阪万博の開催に合わせて大阪の町を南北に分断するように建設されて以来、船場エリアの賑わいが失われつつあった。本来外壁タイルの落下防止を主目的とした従来の外観維持の改修プロジェクトに対し、1,000メートルの連続する建築を、繊維の町をテーマにデザインしたアルミパンチングの緩やかにウエーブする二重外壁で覆うことにより、急速に変貌を遂げた御堂筋の街並みにも対照的に追従するイメージチェンジが出来た。さらに1,000メートルを筋毎に貫通する高架下トンネルは、インパクトのあるカラーリングを施した明るいゲートに変えることで、分断してしまった筋の連続性を蘇らせている。夜間は、パンチングメタルを利用したライティングの流れに映し出され「大阪・光のまちづくり2020構想」における東西方向に向けた光の都市軸を形成するものとなった。
本プロジェクトは大阪の中心に一本の光の筋を切り込み、分断された九つの筋に建築デザイン表現を持って南北間の連続性を復活し、船場センタービルの活性化と共に周辺街区にまで賑わいを広げることが出来たことから、グラフィックな要素を併せ持つランドスケープ賞とした。
受賞者コメント
私たちは船場センタービルの目の前のビルに事務所を構えており、施工途中、既存の外観と新しくなった外観を見比べながら、「本当にこれで良かったのだろうか?」と思う不安な日々でありましたが、「生まれ変わったね」と話す声やライトアップの写真を撮る人々を見てやっとその不安は消えつつあります。今回のリニューアルが船場のまちの活性化につながればと心から願っています。
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グラフィック賞
中央土地八重洲一丁目プロジェクト

講 評
八重洲一丁目の町並みを構成する建物群のなか、時代の変化を象徴する先進性と個性を併せ持つ八重洲にふさわしいデザインを目指し、商業地の発展に貢献することを目標とした記念碑的プロジェクトと位置づけられる。
外観は、全体ボリュームを2分割した上でプロポーションを整える形態操作により、多角形のシンボリックな表現としている。その結果周辺の建物より高く彫刻的に際立っており、テナントビルとして将来に向けた競争力を持つものとなっている。インテリアは、物販一社が全体を借りる条件となった。用意したプログラムは21m×36mの無柱店舗空間であり、将来の変化へ対応するため最小限の改修で事務所用途にも変更可能な計画となっている。投資した無柱空間は付加価値が高い。
単純なフォルムとシンプルなマテリアルにより構成された造型は、日本の玄関口である東京駅八重洲口にあっても、街並みの中でも際立った個性が発揮できる。全面ガラスで構成された立体的多角形は周囲の映り込みや光の反射が面ごとに変化する。隣に並ぶコアブロックとの対比効果もあり、二つの異なる表情が街並みでの強い存在を感じさせる。店舗や事務所での利用に対し合理的な平面計画が、彫刻的形態とともに合理的に構成されていることでグラフィック賞とした。
受賞者コメント
このような特徴ある建築デザインを実現できたことは、長きにわたりこの地で不動産業を営まれてきた中央土地株式会社様の、強い企業アイデンティティを表現することにつながったと考えます。八重洲セントラルパークビルが、東京の表玄関の街並みを作り、長きにわたって八重洲・日本橋の発展の一端を担っていくことを望みます。
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技術奨励賞
川越市斎場

講 評
伝統的な江戸文化の香る街並みが残る川越市の大規模な斎場である。道路を挟んで向かい側には石本建築事務所の設計による川越市の葬儀場「やすらぎのさと」が有り、外構計画、建物配置は「やすらぎのさと」との調和に配慮されている。「やすらぎのさと」と同じ切妻屋根を平行に並べる構成でメインアプローチも対面する。先ず、メインアプローチから車寄せの切妻大屋根の下に導かれる。この大屋根の大きさが建物全体に適度な屋根のリズムを生み出すのに貢献している。車寄せ・エントランスホール・炉室の三つの大きな切妻のリズミカルな処理に成功していることが外観のポイントといえる。施設裏側の機械室のボリュームの処理まで配慮がなされているのは流石である。この建築の主な仕上は本実型枠のコンクリート打ち放し仕上であるが、外部から内部まですばらしい仕上がり面が続く。監理も並大抵でない情熱と時間が注ぎ込まれていることが感じられる。車寄せの大屋根はPCのT型床版であるが、梁の間に木ルーバーを配している。また大屋根を支える本実打ち放しの柱にも再生木を添える意匠となっている。一見、これらの意匠は建築表現としてコンクリートの強さを弱めるように感じられ、この印象は内部のインテリアにおいても同様であり疑問が残った。しかし、時間をおいて斎場であるこの建築を利用する方々の心情を鑑みると、建築は控えめな表現で利用者をやさしく受け止める役に徹するべきであるという作者の深慮に思い至ったのである。
受賞者コメント
斎場建築とは人生の大きな節目に関わる施設です。斎場建築の設計にあたって、「故人の尊厳を損なわないこと」、「遺族、参列者の心情に配慮すること」が重要だと考えています。川越市斎場では厳粛な儀式進行を可能とする動線計画や各所に四季の庭を配するなど斎場建築としての様々工夫を行いました。石本建築事務所がこれまで長年培った斎場設計のノウハウを活かせた建築になったと思います。
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ランドスケープ賞
東北大学青葉山コモンズ

講 評
東北大学農学部などがある青葉山新キャンパスの学生共用施設:青葉山コモンズである。用途は図書館・ラーニングコモンズ・講義室・レストランからなる。敷地は農学部の正面アプローチとなるキャンパスモールと広々とした緑の草原と森からなるユニバーシティ-パークに挟まれた伸びやかな場所である。キャンパスモールから近づいて行くと緩やかな起伏のある緑の草原にはめ込まれたかのような低層で鈍く銀緑色に光る建築が目に入ってくる。銀緑色のマッスを草原に面した側を鋭く、緩やかな弧を描きながら切り取るという形体操作が、自然に対する親和性を獲得する事に寄与していると感じられる。開口部についても横に長く、彫りも深く切り取るという操作が行われ、シャープに弧を描く形体にマッチしたものになっている。
切り取られた開口部の軒天及び抱きの部分には地元産の杉材が張られ緑の環境に対峙する形にふさわしいものに感じられた。ただ、開口部の軒天が内部で密度の少ない井桁状の天井に切り替わる部分で連続性が減じるところが惜しまれる。図書館の内部においてはスラブの重なりの工夫から竪穴区画を発生させずに中 2 階の快適な閲覧スペースを実現するなど、確かな設計手腕が感じられた。シャープな感性が光る彫刻的な建築である。
受賞者コメント
敷地の潜在力をできるだけ素のまま活かしたひとつながりの空間を構成しながら、誰もがお気に入りの居場所を見つけ出せる多様性を創出することをテーマに掲げ設計に取り組みました。豊かな環境に包まれた新キャンパスで、この場所で過ごした時間とともに四季を彩る風景の一部として記憶に残るような施設となることを切望しています。
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グラフィック賞
相模女子大学小学部さくら館

講 評
相模原市の緑豊かな相模女子大のキャンパス内に敷地はある。キャンパス中央の芝生広場を幼稚部から大学院までが共有する。その芝生広場のサクラ並木に面する恵まれた敷地条件を活かすため、全室がサクラ並木に面するシンプルな片廊下型の校舎である。その細長い校舎を2階の壁までRCで造り、長手方向に集成材の梁を並べたことで、この建築の空間が決まっている。端部の音楽室は 2層の空間でそこで長手方向に架けた梁が地上まで下りてくる。そこがこの建築の見せ場である。木の段床が下ってゆく空間にL型の集成材が連続し、その向うにサクラ並木の豊かな景観が2層のガラススクリーン一面飛び込んでくる。そこで音楽の授業を受ける小学生がなんと恵まれていることか。2階の教室は集成材の梁を表した直天井で露出するダクト・配管もレイアウトや色に配慮が行き届いている。1 階教室も同様に直天井でこちらはRCのフラットスラブを露出で見せているが、吸音のグラスウールボードを埋め込み2階とは違った印象の天井で興味深い。RCの箱にL型の木の梁をかぶせるというシンプルな構成を1階・2階それぞれの構造的な特色を活かしながら、上手にまとめた建築である。
受賞者コメント
私立の小学校として、魅力的な木造の学校をつくることを目指して設計しました。木造を見せること、キャンパスの豊かな景観を取り込むこと、小学部のシンボルとなるホールをつくることがテーマでした。竣工後に音楽の授業を見学したとき、立派なサクラ並木に向かって歌う児童の姿が、とても清々しく、凛々しく感じられ、嬉しく思いました。学校の方々をはじめ、このプロジェクトに協力して下さった皆様に感謝したいと思います。
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インテリア賞
鎌倉市立大船中学校

講 評
鎌倉市の大船駅から南東に歩いて10分ほどの場所にある市立中学校である。敷地周辺は大船駅の密集した商店街から抜け出たエリアに立地し、正面道路には古木の桜並木が残っている。その桜並木周辺をしっかりセットバックして地域に開放された公園としている。セットバックした壁も分節し高さも抑えスケールを小さくした間に植栽を挟み、快適な空間を門前に創り出している。そこから校庭へ真直ぐ抜けるけやきロードの左右に体育館と校舎が並んで建つ明快な構成となっている。学校のシンボルとして大事にされてきたけやきの大木の脇をけやきロードが通り、シンボルとしてのけやきが引き立つ配置であり、正面からの景観が絵になるすばらしい学校である。校舎の構成は南側に普通教室が一列に並び、その後ろに共用部と特別教室が中庭を囲んでロの字型を形成する。中庭を中心に3つのラウンジ:アカデミアラウンジ、ステップラウンジ、メディアラウンジが立体的に連携し、中庭を中心に賑わいを生み出す仕掛けである。
カーテンウォールで囲まれた中庭は透明性が高く、向かいのラウンジの活動が垣間見られ、スケール感も相まって心地良い空間になっている。ラウンジの要所に本実型枠のコンクリート打ち放し仕上やPCのT型床版の直天井が使用され空間を引き締めている。ステップラウンジの客席となる部分が狭いなど、実際の運用に疑問が残る部分があるのが惜しまれる。
受賞者コメント
3年間という短い学校生活が、常に刺激的で、快適に、誰もが心に残る風景としてあり続けられるように、丁寧に居場所を作ることを大事に設計チーム、工事関係者が一丸となりました。生徒以外に地域の人にも好感を与えることができる学校ができたと思います。
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特別賞
OIT梅田タワー

講 評
大阪梅田駅から徒歩5分の立地にある都心型超高層キャンパスのプロジェクトである。石本建築事務所が環境分野を担当し、省CO²事業に採択された。環境統合技術を推進する石本建築事務所として設備分野のみの業務ではなく、意匠にも踏み込んでまとめた渾身の環境プロジェクトと言えよう。1階のエントランスに入ったところから建築全体の省CO²の状況を刻々と映すディスプレイに迎えられる。デザイン系の学科が利用するスタジオでは細かく設定されたゾーン毎に照明と空調をコントロールすることが出来るようになっており、その液晶タッチパネルまでオリジナルに開発しているという。しかし、利用者も十分に使用方法を理解できないようだ。これからも継続して分かりやすい画面に更新していけば、使いやすさも向上していくと思われた。各フロア北側のコミュニケーションスペースが吹き抜けでつながりエコボイドとなり、3重断熱ガラスをこのプロジェクトのために製品化し、床輻射冷暖房があり、地下2階のクールトレンチをアースチューブと名付け、内部をエコツアーで歩けるようにするなど、どのアイテムにも分かりやすい説明サインが設置されている。これほどまでに環境をテーマにアイテムを揃え、かつ、分かりやすいエコツアーを出来るように計画した例は日本でも他に無いのではないかと思われた。環境建築の力作である。
受賞者コメント
関西初となる都市型タワーキャンパスは、建築計画と石本に蓄積された環境技術の統合的な計画が建物の特徴です。都心大学ならではの空間構成によるタワーキャンパスは梅田のまちの新しい特徴的な景観となりました。開校以来、各方面から多くの施設見学依頼があり、エコキャンパスの環境技術や使われ方にとても関心を持って頂いています。プロジェクトが目指し、結実した取組みが、更なる環境統合技術の進化につながっていくことを願います。
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