- 講評
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本プロジェクトは愛知県の「Aichi-Startup戦略」の中核プロジェクトに据えられた床面積2万m²の国内最大規模のスタートアップ支援施設である。スタートアップ同士の出会いやつながりを生み出し、イノベーションを起こしていくことこそがスタートアップが集まる価値となり、建築はそれを生み出す基盤のようなものとして提案された。「共創を誘うシームレス・プラットフォーム」というコンセプトフレーズそのものが、空間構成と施設運営の在り方を表したダイアグラミックな建物として、昨年オープンした話題性の高いプロジェクトである。施設プログラムはスタートアップのオフィスのほか飲食、店舗、貸会議室、展示施設、ホテルなどの機能が複合した施設である。敷地は名古屋市の中心部近くにあり、敷地の北側が鶴舞公園に隣接している開放的な立地環境である。
外観の基本構成は層間部のPCとサッシュ/金属パネルのシンプルな水平デザインで、公園に面した北側にはランダムにバルコニーやルーバー・階段・緑化が設けられ、結果としての外観デザインは変化に富んでおり、公園の広がりある環境と融和するような表情となっている。
空間構成は南北のフロアプレートを半分ずらして積層されたスキップフロアとなっており、ずれたフロアは端部で階段につながり、全体として螺旋状になっているオフィス空間は総延長1キロの長さのワンプレートである。スキップフロアと中央部の吹抜けが合わさることで、見上げたり見下ろしたりすると通常の吹抜け空間より連続感が倍増した印象である。吹抜けの真ん中には緩勾配のスロープが設けられて、視覚的にも物理的にも空間の連続性が強調された、未来的ともいうような空間が1階から6階まで繋がっている。スロープはシームレスでロボットフレンドリーな施設の象徴的装置として、コミュニケーションやイノベーションを喚起するという目的で提案されている。このような大げさな空間装置が必要か否かは今後の検証に委ねられるとして、緩やかなスロープを上り下りすると上下の異なるフロアの断面を同時に眺めることができ、様々な入居者の活動が現れては消えていく。ミュージアムではよくある構成だが、効率性やセキュリティが重視されるマルチテナントのオフィスではこれまでに体験したことがない空間である。
内部仕上げはハイスペック・ハイコストではなくカジュアルにまとめられており、自由で活発なスタートアップオフィスの「イマドキ」らしい空間イメージを創出している。共用部はシンプルな色彩と材料が用いられ、スロープの手すり壁が吹き抜けをぐるぐる巻きのリボンのように連続する空間を印象付けている。スロープエンドのアイストップポイントには入居しているスタートアップ企業によるアートが配置されて効果的に空間を演出している。専有部は耐火被覆鉄骨や配管配線が露出したスケルトン天井にパッケージエアコンとライティングレールのスポット照明、家具やサインは仮設性や可動性を重視したデザインが様々な場所に自由に配置されている。
3.6mを構造モジュールとし10.8m×10.5mグリッドの構造架構で効率的な構造計画としている。設備は外部バルコニーからテラスの天井を横引きし、内部での配管の切り回しを最⼩限にすることで、フレキシビリティの高い計画を実現している。
ソフトバンクが代表企業として運営しており、スタートアップ施設のトップランナーとして多くの見学者が訪れているという。スタートアップにふさわしい施設デザインとは何なのかという問いを建築的に翻案し、オリジナリティある空間構成と軽快なデザインイメージでまとめ上げており、同時代の最先端的なワークプレイスの在り方が提示されている。最優秀賞にふさわしい構想力と提案力の高さが評価された。
- 受賞者コメント
- STATION Aiでは、急速に変化するスタートアップの活動に応えるため、スパイラル構造のフロアを通じて、人や機能の出会いが空間的・視覚的に連続する設計を採用しました。空間を完結させず、あえて“未完成の余白”を残すことで、多様なニーズの変化を柔軟に受け止めています。いま、想像を遥かに超える熱量で活用されるSTATION Aiの姿に、圧倒されつつも大きな可能性を実感しています。この場に共に身を置きながら、使い手とともに、快適で進化し続けるワークプレイスを創り上げていきたいと強く願っています。
















































































































































































































